大人たちが教えていること
小学校でも中学校でも、高校の時も大学でも、年上の人たちというのはどこか怖い存在だった。新卒で入った会社でも、先輩というのはどこか怖い存在だった。
でも、自分が年齢を重ねていくほど、特に30代になってからは、上の人たちとの距離感がどんどん近くなっていくというか、対等というか、怖い存在ではなくなっていた。
不思議だなと思う。
あれほど、なんだか子ども扱いというか、上からというか、同じ目線で接してくれることのなかった「年上の人たち」が、自分が年齢を重ねていくほど、対等な関係で接することができるようになっていく。
さも当然かのように、「こうしないと」とか「ちゃんと○○頑張らないと」みたいな言い方をしてきた人たちが、そういう言い方をしてこなくなる。彼らの思う常識を、当然のように押し付けてはこなくなる。
小さい頃から私は、大人たちのこういう接し方に、すごく違和感をもった。
なんでそんな言い方をされなければいけないんだろうって、いつも思った。
特に社会人になってからは、社会はそんな甘くない的な、全然必死さが足りてない的な、もっと大変なことを自分たちは経験してきたんだ的な、今まで何を学んできたの?的な、そんな雰囲気を出してくる大人たちが、そんなことを言われること自体が違和感でしかなかった。この人たちは、一体何を教えようとしているのだろうか?と思った。
私には、この社会全体が、なにかチキンレースのようにしか見えない。
自分はこれだけ自分を犠牲にして、我慢に我慢を重ね、自分に鞭打ってきたのだということを、互いに自慢し合い、誰が最後までそこに居続けることができるのかを勝負し合っているだけの社会にしか見えない。奴隷が、自らのその奴隷さ加減を、同じ奴隷同士で自慢し合っているようにしか見えない。もしくは傷を舐め合っているだけのようにしか見えない。そこから脱出しようとか、逃げようとか思うこともなく、住めば都だと思おうとしている。そして、そんな奴隷的な生き方を、子どもにも教え込んでいるようにしか見えない。
どんな社会なんだと思う。
年上の人が、年下の人にどんな接し方をしているか?
何を教えているのか?
それを見るだけで、この社会がどんな社会なのか、すぐに分かるものなんだなと、つくづく思う。

